2024年3月1日に発売されたSENNHEISER(ゼンハイザー)の新作完全ワイヤレスイヤホン「Momentum True Wireless 4」発売日に購入したのでレビューする。
- 大空間で聴いているかのような広がりと奥行きを感じられるゴージャスサウンド
- 販売日時点で「最強」のノイズキャンセリング・外音取り込み
- 機能面は必要なものが全て揃っていて隙がない
- ファブリック素材のケースとメタリックな本体でデザイン性が高い
前作のMomentum True Wireless 3販売から2年弱が経過し、満を持して登場した本製品だが、とんでもない怪物イヤホンが出たなという第一印象を受けた。
完全ワイヤレスイヤホンってまだ進化の余地があったんだな…早速レビューしていく。
スペック
項目 | スペック |
---|---|
ドライバー | 7mmダイナミックドライバー |
Bluetooth | Bluetooth5.4 |
対応コーデック | SBC、AAC、aptX™、aptX™ アダプティブ/ロスレス、LC3 |
ノイズキャンセリング | ○ |
外音取り込み | ○ |
バッテリー | 単体:最大7時間(ANCオン)、最大7.5時間(ANCオフ) ケース込み:最大30時間 |
充電端子 | USB-C(8分で1時間使用可能) Qiワイヤレス充電 |
マルチポイント | 2台 |
専用アプリ | ○ |
防水性能 | IP54(防塵防滴) |
独自機能 | Snapdragon Sound オーディオパーソナライゼーション タッチコントロールカスタマイズ バッテリー保護モード イヤーピースフィットテスト サウンドゾーン |
重量 | 本体;左右それぞれ6.2g ケース込み:72.4g |
付属品 | イヤーピース:XS/S/M/L ケーブル:USB-A – USB-C |
発売日 | 2024年3月1日 |
価格 | 49,940円(税込) |
コーデックについては今作もLDACの対応はない、ハイレゾを楽しみたい際はaptX AdaptiveかaptX Losslessに対応した機種が必要。せっかくの高級イヤホンなので対応のスマホでの使用がベストだが、個人的には誤差程度の違いしかないのでコーデックは気にしなくていいと思う。AACかaptXで聴ける環境があればOK。
金額は前作のMomentum True Wireless 3(以下MTW3に省略)から約1万円アップしており5万円となった。なかなかに高価な買い物になるのでこの商品に5万円払う価値があるのかこの記事を参考にご検討いただければ幸いだ。
開封&ペアリング
パッケージ・付属品
パッケージはこんな感じ。前作と比べるとかなり箱が小さくなった。未来の売却を考えると箱も残しておきたいので地味に助かるポイント。
中を開けると早速本体の登場。今作はロゴがグレーシルバーになって一段とかっこよくなった。
本体は後に回して先に付属品をチェック。まずはイヤーピースから。
本体に最初から装着されているMサイズ以外の3サイズ分が紙袋に包装されていた。
- シリコンイヤーピース:XS/S/M/L
また、イヤーピースには耳垢混入防止用のフィルターも装着されていた。
次にイヤーフィン部分のパーツも本体に装着されているもの以外の2サイズが紙袋に梱包されていた。
あとはUSB-C to USB-Aのケーブルも付属している。ロゴの印字などは特になし。
付属品はこちらで以上だ、続いて本体を見ていこう。
デザイン
本体はこちら。前作からは形状の変更はない。
違いは唯一タッチ操作パネル部分がメタリックな塗装になったことだ。前作MTW3のAmazon限定カラー「グラファイト」のタッチ操作パネルのカラーがMomentum True Wireless 4 のブラックに踏襲されている。
めっちゃかっこよくない?
ケースはこちら。表面はファブリック素材でケースの中央にSENNHEISERマークがグレーシルバー(?)で書いてある。
前作のMTW3はこのマークが白の塗料だったので汚れがすごく気になった。「Momentum True Wireless 4」ではその点は気にならなさそうなので好感。
充電用のUSB-C端子はケースの前側にある。大抵は背面にあることが多い中SENNHEISERだけなぜかこの仕様を採用している。
サイズ・重量
イヤホンの筐体サイズは”小さめ”だ。小型を売りにしているWF-1000XM5と比べると少し大きいくらい。EAH-AZ80よりは一段小さい。
前作からサイズは一切の変更がない。
ケースサイズは大きい。WF-1000XM5と比較するとこんな感じだ。
サイズと重量は総じてMTW3と同じ。今作はハード面じゃなくてソフト面の進化に注力したようだ。
ペアリング
充電がある状態でケースから取り出し、両方ののタッチセンサーを同時に3秒長押しするとペアリングモードになる。
端末のBluetooth設定画面から「MOMENTUM TW4」を選択すればペアリング完了だ。簡単。
実際に装着した感想
小型かつ軽量なため装着感は非常に良い。耳からの飛び出しも少ないためしっかりと収まっている感覚がある。
付属のイヤーフィンを付け替えればさらにフィット感を向上させることができるのだが、私の場合最大サイズでも耳に触れなかったので意味をなさなかった。
装着の安定感も高いのだが、一度位置がずれるとノイズキャンセリングのバランスが悪くなるため両耳外して入れ直す必要がある。
装着感良し、安定感良し、一度ずれると弱い、という感じ。
不満というほどではない。
音質
「Momentum True Wireless 4」の音質をレビューしていく。ポイントは以下の4点だ。
- 中高音が滑らかなに繋がる高密度サウンド
- 重心が低く力強い重低音
- 大空間の中で聴いているかのような広がりのある音
各項目を紹介していく前にイコライザー設定を紹介する。フラットのままだと若干味気のなさを感じるのでメリハリがつくように設定している。ロックやポップスを好む方はぜひこの設定を試してみてほしい。
中高音が滑らかなに繋がる高密度サウンド
音のつながりの良さが一つ目の特徴だ。非常にまとまりがよく一体感を感じられるチューニングになっている。
音の密度が非常に高く、スカスカさは無論ない。密度が高いことで音のまとまりのよさや一体感が生まれているように感じられる。
重心が低く力強い重低音
低音域に関しては、非常に力強く迫力を存分に楽しめる。
かといって音のバランスが悪いわけではなくむしろ整っている印象なので、「重心が低い」という表現がしっくりきている。どっしりと構えた安定感のある重低音を楽しめる。
大空間の中で聴いているかのような広がりのある音
ゼンハイザーサウンドといえば「音場の広さ」が特徴だ。もちろん「Momentum True Wireless 4」も大空間でコンサートを聴いているかのような音場の広さを楽しむことができる。
「音場」がどういったものなのか、についてあえて言語化するならば音の「距離感」と「余韻」だと考えている。
「Momentum True Wireless 4」は先述した高密度な音の質量が塊でぶつかってくるのではなく、音源に記録されている音それぞれの「距離感」を持った状態で耳に入ってくる。距離感の設定が他社のイヤホンと比べて遥かに緻密な設計になっているように感じられる。
また「余韻」については距離感をより実感しやすくするための要素となる。鳴り終わった音が遠くに離れていくような余韻の作られ方によって音の距離感を手に取るように感じることができる。
この音場の広さはやみつきになる
ノイズキャンセリング&外音取り込み
音質はもちろん素晴らしいのだが、それ以上にノイキャンと外音取り込みの性能が高すぎて衝撃を受けた。どちらも現時点では完全ワイヤレスイヤホン界で最強だと思う。
MTW3の時もだが、ゼンハイザーの新作イヤホンが登場すると時代が一歩前に進んだ感覚がある。毎度クオリティが凄まじい。
ノイズキャンセリングは「最強」
現時点では間違いなく最強。ここまで無音に近いノイズキャンセリングは体験したことがない。
低音~高音までバランスよく全体的な音量を下げてくれる。
個人的にはWF-1000XM5よりも強力に感じた。人によっては逆の主張もあるので耳との相性もあるかもしれない。
強力なノイズキャンセリング機能の素晴らしいところは、単にうるさい音をカットしてくれるだけでなく、音楽の再生音量を小さくして耳を守ることができるという点にある。強いに越したことはない。
ノイズキャンセリングモードは「オン」「風切り音の防止」の2つのモードがある。オンにすると強力なノイズキャンセリングが発動するのだが、風切り音をカットしきれないという欠点がある。
強風で風切り音が気になる場合は「風切り音の防止」モードを使用すると大幅にカットしてくれて静かに音楽を楽しむことができる。ただ、ノイズキャンセリングのパワー自体は「オン」と比べて数段階落ちるので状況に合わせて使い分けるのが良さそう。
外音取り込みも「最強」
MTW3の時からそうだったが、今作も相変わらず外音取り込み機能は「最強」だ。
かなりクリアで音声が聞き取りやすい。また自分の声の反響も非常に少なく自然な会話が可能だ。装着していることを忘れるレベル。
前作にあったホワイトノイズも改善されてほとんど消えており、めちゃくちゃ自然だ。
Airpods proが唯一ライバルになるかどうかというレベル。
ゼンハイザーの完全ワイヤレスイヤホンには「外音取り込み時に再生停止機能」という機能があり、これがめちゃめちゃ便利。コンビニのレジで店員と会話する時に左側のイヤホンを1回タップすれば速やかに音楽の再生が停止され外音取り込みに切り替わる。反応速度もかなり早い。
ただ一点気になるのが、初期不良なのかファームウェアの問題なのか外音取り込み時に左側だけ「ギギーギギー」「ジジジジ」というノイズが鳴っていて少し気になる。右側は無いので今後のファームウェアアップデートで改善しなければ初期不良で修理に出してみようと思う、
機能性
マルチポイント
2台同時接続のマルチポイント機能はしっかり搭載されている。現代の完全ワイヤレスイヤホンの必須機能。
スマホとPCに同時接続しておいて、再生ボタンを押したり通話にでるだけでシームレスに切り替えができるのでとても便利。
マルチポイントがない完全ワイヤレスイヤホンはもう時代遅れになるのかもしれない。それぐらい必須の機能だ。
IP54の防塵防滴
前作のMTW3がIPX4の防滴性能だったので、Momentum True Wireless 4のなって防塵性能が追加された。防水性能は前作から変化無しだ。
この辺りについては日常的に身につけるものだからこそ強力であることに越したことはないと思う。今作で一段階進化したことはとても嬉しく思う。
IPに続く5が防塵、4が防滴を表している。
バッテリー持ち
本体のバッテリー持ちは前作から0.5時間伸びて7.5時間となった。ケース込みの時間も前作の28時間から30時間に伸びたので、バッテリー持ちは順当に強化されている。
前作の段階で満足できる持ちの良さだったが、完全ワイヤレスイヤホンはバッテリーの劣化を避けられないのでこの点はどれだけ強化されても物足りない。
アプリはシンプルで便利
Senheiserのアプリはシンプルで使いやすく、機能面も不足は感じない。
- マルチポイント設定
- ノイズキャンセリングのモード切り替え
- 外音取り込み設定(強度・再生停止機能のON/OFF)
- イコライザー設定(プリセット・カスタマイズ・オーディオパーソナライゼーション)
- タッチコントロールカスタマイズ
- バッテリー保護モード
- イヤーピースフィットテスト
- サウンドゾーン
- オーディオ解像度設定
- バッテリーECOモード設定
- 自動電源オフ、自動着信、スマートポーズ設定
- リセット
完全ワイヤレスイヤホンのアプリにおいて最も使用頻度が高い機能はイコライザーなのではと思っている。そのほかは最初に設定したあとあまりいじらないイメージがある。
そのイコライザーに関してはプリセットが微妙すぎるしカスタマイズも若干の使いづらさを感じる。音の好みを判別してイコライザーを組み上げていく「サウンドパーソナライゼーション」機能もあるが、これも正直使いやすさは感じない。
実際のイコライザー設定に関しては以下の設定をぜひ試してみてほしい。迫力と華やかさを兼ね備えたゼンハイザーサウンドを思う存分楽しむことができる。
タッチ操作カスタマイズ
イヤホンのタッチ操作の割り当てをかなり自由度高く設定することができる。
左右どちらかの1回タップに外音取り込みを設定しておけばコンビニなどのレジ待ちで素早く会話可能な状態に切り替えられるのでおすすめ。
オーディオ解像度設定(低遅延モード)
オーディオ解像度をざっくりと設定できる。
- 標準:一日中聴く用
- 低遅延:遅延のないオーディオ体験
- 高解像度:24bit/96kHz aptX Adaptive
- 損失なし:16bit/44.1kHz aptX Lossless
標準と低遅延モードの設定詳細もできれば教えてほしいと思うところだ。
aptX Adaptive非対応のスマホであれば基本は標準でOK。実際に音楽を流すと使用しているコーデックを表示してくれるのでそれを見ながらどのモードに設定すればいいのか決められる。
低遅延モードは期待以上に便利で、スプラトゥーンなどの対人ゲームもそこそこできるくらい遅延が小さく感じた。厳密に聞くと遅延は認知できるが音ゲー以外は問題なく遊べそうだ。
良いところ
音質
音質はめちゃくちゃ良い。価格帯に十分見合うクオリティだと感じた。
先述したが、音質のポイントは以下の3点だ。
- 中高音が滑らかなに繋がる高密度サウンド
- 重心が低く力強い重低音
- 大空間の中で聴いているかのような広がりのある音
特に「音の広がり」は本当に素晴らしく広大で豊かな音楽体験を手軽に楽しむことができる。クラシックやライブ音源などを聴けばまるで現地にいるかのような臨場感を体感できる。
チューニングは非常にバランスが良くオールジャンル楽しめる設計になっている。
総じて満足度の高い音なのでとてもおすすめできる。
最高ランクのノイズキャンセリング・外音取り込み
ノイズキャンセリング・外音取り込み機能はどちらも最高峰だ。
3~5万円台のイヤホンを一通り試してきたがMomentum True Wireless 4の優勝で間違い無いと思う。
特に外音取り込み機能は他の追随を許さない圧倒的なナチュラルさがある。前作MTW3にあったホワイトノイズもない。ノイズキャンセリング↔︎外音取り込みの切り替えも非常に素早く、使い勝手も良い。
一つだけ気になるのが、外音取り込み時の左耳の「ギギー」「ジジジジ」というノイズで、ファームウェアアップデートや公式からのお知らせがなければ初期不良として修理に出そうと思う。ゼンハイザージャパンも家電屋もかなり丁寧に対応してくれるのでご安心を。
音質、ノイキャン、外音取り込みどれもが最高のクオリティ、隙なし。
機能面で必要なものは全て搭載されている
- マルチポイント(2台)
- IP54の防塵防滴
- 単体最大7.5時間のバッテリー持ち
- 便利なアプリ
- タッチ操作カスタマイズ
- 低遅延モード
完全ワイヤレスイヤホンに求める便利な機能はすべて揃っている。
特にバッテリー持ちと低遅延モードは想像以上の品質となっていて明確な強みに感じた。
もちろんマルチポイントや防滴性能も備わっている。この辺りは必須機能だ。
傷が目立たないケース・本体のデザイン性
Momentum True Wireless 4の地味にありがたい強みとして、「ケースの傷の目立たなさ」があると思う。表面がファブリック素材で仕上げてあるので細かい傷がつきにくく、ついたとしても目立ちにくいようになっている。
またMomentum True Wireless 4からゼンハイザーロゴがグレーシルバーに変更になったことで、前作にあったロゴが黒ずんでいくことすらも無くなった。
合わせて全体的なデザイン性も素晴らしく、ファブリック調のケースから金属塗装のボディーが出てくる組み合わせがとってもかっこいい。
気になるところ
性能面では気になることは特になく素晴らしいクオリティだ。強いていえば以下の2点が気になるところとして挙げられる。
ケースが大きい
ケースサイズが直近の完全ワイヤレスイヤホンと比較するとやや大型な点が気になる。
前作MTW3と同じサイズのまま続投となったわけだが前作の時点でちょっと大きい感があったので、2024年においてはしっかり大型な部類に属するだろう。
今作は外側の形状より中身の進化に注力した印象でケースサイズの小型化を後回しにしたのだろう。この辺りは次回作に期待だ。
コーデック「LDAC」対応なし
ハイレゾ系のコーデックはLDACにも対応していて欲しかったのが正直なところだ。
AptX Adaptiveは対応のスマホが少なく、GalaxyやGoogleのスマホに対応していないのが少し微妙だ。
とはいえコーデックは本当に誤差の範疇で、AAC,aptXで十分に高音質を楽しめるので明確なデメリットではないと考えている。音質の差はそのほとんどが本体のクオリティのみで決まる。安心して買ってOK。
どうしても非対応のスマホでAptX Adaptiveで音楽を楽しみたいという場合は「BTD600」セットの購入をおすすめする。
端末のUSB-C端子に接続するBluetoothドングルで、装着すると音源をAptX Adaptiveでイヤホンへ送信することができる。音の違いは僅かだが圧倒的な高音質を余すことなく楽しみたい方には打ってつけだ。
まとめ|2024年No.1候補、破格のハイクオリティ
現時点で2024年No1の最有力候補だ。これを超えるイヤホンが登場するとは俄かに信じがたい。
- 5万円未満の完全ワイヤレスでは圧倒的な高音質(特に音場の広さは随一)
- 最高峰のノイズキャンセリング&外音取り込み
- 各種機能性も抜群
音質・ノイキャン・機能性のどれをとっても隙がなく、デバイスとしての完成度が高すぎる。
特にノイキャン・外音取り込みのクオリティには本当に感動した。現行の他社製品だと太刀打ちできない水準まで達している。
今年の他のデバイスがどのように仕掛けてくるか非常に楽しみだが、間違いなくMomentum True Wireless 4は2024年No1の最有力候補になるだろう。この記事が参考になれば幸いだ。
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