静脈内鎮静法を用いた「 親知らず 」の抜歯を行ってきたのでその話をする。
医学の専門的な話はできないので体験ベースで抜歯までのスケジュール感や手術の時のことなどを書いていく。
1. 「 親知らず 」が横向きに生えていた
レントゲンで発覚
ちょうど一年前24歳の時に虫歯の治療で近所の歯医者を訪れた。定期検診を怠っていたため約2年ぶりに歯医者で見てもらうこととなった。大量に虫歯があったらどうしよう…そんなんことを思いながら診察台に座った。そして口の中をざっと見た後に、レントゲンを撮ることになった。歯医者のレントゲンは苦手だ、口の中にフィルムを入れると吐きそうになる。
なんとかレントゲンを撮影し終えた後、医師から衝撃的なことを伝えられた。(大袈裟)
4本とも横向きに生えていた。
「親知らずが4本とも生えてきていますね。しかも全部横向きで根が深い。」
親知らずが!!4本とも生えた!!!!しかも全部横向きで!!!?!?!?!
絶望した。横向きの親知らずの治療法は聞くだけで恐ろしい内容だったからだ。ぼんやりいつかきっと生えてくるんだろうなと思ってはいたけどいざ生えていることを知ると焦る。もはや虫歯の治療なんて全く怖くない。親知らずのことを考えていたらいつの間にか終わっていた。
治療後、親知らずのことで不安になりすぎている筆者に対して医師は丁寧に今後のことを教えてくれた。
「痛みも炎症もなければすぐに抜歯する必要はない。希望があれば手術の相談をしましょう。」
そうか、すぐに手術というわけではないのか…それは少し安心だ。かくして横向き親知らず×4本という特大の爆弾を抱えた生活が始まった。
ところがそれから約半年が経過したころ…
2. 「 親知らず 」の抜歯を決意する
「 親知らず 」周辺の歯茎が炎症を起こした
ある日左下の親知らずの周辺の歯茎が炎症を起こした。感覚としては歯肉炎とほぼ同じ。そしてこれが1週間近く経っても全く治らなかったのだ。普通の歯肉炎程度であれば周辺の歯垢を丁寧にとってあげれば2,3日で治るのだが、今回のは原因が歯茎の内側にいるのでどうしようもない。しょうがないので歯医者に行くことにした。
歯医者で炎症を抑える注射を打ってもらった。しばらくは奥歯の違和感が残ったが3日ほどで何事もなかったかのように治った。医師曰く「こういった歯茎の炎症はおそらく今後も繰り返すから、抜いたほうがいいかもね。」とのことだった。炎症を抑える注射は一回で1,000円以上する。しかもこの注射自体はあくまで一時的に炎症を抑えるものなので根本的な解決にはなっていない。ここで本格的に抜歯を検討し始めた。
若干歯並びが悪くなった気がする
そして抜歯の決意に至った出来事がこれだ。心なしか下の歯の歯並びが悪くなった気がする。それに最近ちょくちょく舌を噛んでしまう。親知らずが手前の歯をぐいぐい押しているのを感じることもある。毎日歯並びの記録を撮っていたわけではないので確証はないのだが、感覚としてはガタついた気がする。もし今の時点で影響が出ていなかったとしても今後歯並びが悪くなる可能性は十分にある。やるしかないのか…
「抜歯しよう」
ということでここからは実際に親知らずを抜歯した体験を書いていく。
3. 横向きの「 親知らず 」は大学病院で抜歯したい
横向き「 親知らず 」の抜歯は大手術
街の歯医者でも親知らずの抜歯はもちろんやってくれるが、筆者のような横向きで根が深い場合は大手術になるので断られることもあるらしい。また筆者はかなりのビビりのため、可能な限り安心できる手段を取りたいと思い大学病院での抜歯を選択することにした。
歯科大学の病院(口腔外科)は「 親知らず 」抜歯のプロ
街の歯医者さんだってもちろんプロなのだが、大学病院の歯科は扱う治療ごとに部門が細分化されていて、それぞれのスペシャリストが集まっている。親知らずの抜歯に関しては、口腔外科(顎顔面口腔外科)という部門が担当となっている。
実際の問診の際、どれくらいの頻度で親知らずの治療をやっているのか興味本位で聞いてみたところ、毎日4~6回はやっているとのことだった。プロ中のプロだ。街の歯医者さんだと他のいろんな治療も取り扱うので毎日親知らずの抜歯をすることはないだろう。
実際の抜歯までは数ヶ月〜半年かかる
大学病院は本当に忙しい。すごく先まで予約が埋まっている。そして親知らずの抜歯までは、①問診②レントゲン③抜歯のスケジューリング、などなど数回にわたって通う必要がある。
4. 「 静脈内鎮静法 」を選択
手術が怖い
先述したとおり横向き&完全埋没の親知らずの抜歯は本当に大手術だ。歯茎を切り開いてハンマーで歯を割って取り出すなんて想像しただけで血の気が引く。マジで怖い。本当に嫌だ。でも若くて体力のあるうちに抜歯した方がいいし、歯並び悪くしたくないしもうやるしかない。
3択を迫られる
親知らずの手術については麻酔の方法に3パターンある。大手術ということもあり局所麻酔以外の選択肢も用意されている。
選ぶことができる麻酔の選択肢は下記の3つだ。
- 局所麻酔
- 静脈内鎮静法
- 全身麻酔
局所麻酔と全身麻酔に関してはイメージができるだろう。局所麻酔は虫歯などの歯科治療と同様に患部にのみ麻酔をして手術する方法だ。一方で全身麻酔の場合は完全に意識がない中で4本とも一気に処置してくれるらしい。その代わり数日の入院が必要となる。金銭的にももちろん高価だ。激務会社員には少し厳しいところがある。ということで
「 静脈内鎮静法 」を選んだ
静脈内鎮静法とはなんぞや?というところからだが、簡単にいうと静脈に点滴で麻酔を投薬し意識が薄れた状態で手術をする方法だ。手術前に点滴を打ち始めるとボーッとし始めて、目が覚めたら全部終わっているという手術方法なんだ。意識がほぼないので術中の記憶は残らない。しかも価格もそこまで高価ではなく(筆者の場合は約6,000円)日帰りもできちゃうということでとても画期的だ。
局所麻酔での処置は怖い、でも全身麻酔も時間的体力的に厳しいという方にはこの方法がいいのかもしれない。
もちろんこの方法自体にも一定のリスクは伴ってくるので詳しい話は歯科医と相談してみてほしい。
5. 抜歯手術について
準備中が怖い
手術台に座ってまずはうがい薬でうがいをする。その間にどんどん器具が並べられていく。なかなか仰々しいものも用意される。そして静脈内鎮静法を行う患者には指先に脈を測るクリップと上腕には血圧を測定する器具が取り付けられる。これから手術しますよ感がすごい。されるがままに準備が着々と進められていく。この準備中が一番怖い。
麻酔後記憶がない
そしてついに麻酔の注射を腕に打ち込む。注射は普通に痛い。なんか子供の頃より苦手になった気がする。そして針を抜いて柔らかいチューブで静脈内へ麻酔が注入される。すると段々意識が遠のいていく。ちょっと起きててみようと粘ってみたがすぐに意識が消えた。
目が覚めたら手術終了
しばらく経って意識が戻った。そして手術が終わっていた。全く手術の記憶がない。まだ口の中は麻酔が効いているみたいで違和感はある、術後しばらく待合室のベンチで休んでから帰るように言われた。診察台を立ち上がるとかなりフラついた。そしてベンチで休んでいると、段々手術した場所が痛み始めてきた。あと血が結構出てくる。噛んでいるガーゼが真っ赤になった。少し休んだ後お会計を済ませ薬局で痛み止めと抗生剤をもらいその場で飲んだ。
帰り道は一人で公共交通機関で帰ることを推奨されていないので、知人に迎えにきてもらった。
6. 「 親知らず 」の抜歯は術後が一番つらい
麻酔が切れてからが本番
めちゃめちゃ痛い。痛み止めが効いている間は普通に生活できるが、切れた途端何にも集中できなくなる。きつい。寝る前に痛み止めを飲んで寝ても夜中に痛みで目が覚める。この状態は少なくとも3日間は続く。痛みのピークは翌日、腫れのピークは2日後と言われている。確かに筆者の場合もそんな感じだった。腫れに関してはよく写真で見るような下膨れになる。触ると痛い。あと手術した側ではもちろん咀嚼はできないので基本的にはウィダーなど流動物を飲んでやり過ごすことになる。
1週間後の抜糸で終了
手術後に一週間後の抜糸の予約もすることになる。そして一週間が経過することには痛みも腫れもかなり治っている。糸を抜くこと自体はちょっとチクチクするくらいだった。糸を抜いた翌日にはかなり口の中もスッキリする。これでひと段落だ。
その翌週にはほぼ術前となのも変わらないように生活ができる。なんとか乗り越えた…
7. あと3本頑張る
結局4本とも全部静脈内鎮静法で抜歯することにした。1本目抜歯の3週間後に2本目を控えている。手術自体に関しては本当に恐怖もなく無意識の中に終わってくれるのでいいのだが、術後の痛みに関してはまた繰り返すことを考えるとゾッとするが、反省点として、痛み止めを術後痛み始める前に服薬することで痛みのピークを軽減することができるそうだ。次回はこの点を気をつけたい。
余談だが、抜歯から一ヶ月後に術後感染を発症し、痛みが再発しで歯茎が大きく腫れ上がった。その時の話を記事にしているのでよかったら見てほしい。
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